位置・速度・加速度 位置・速度・加速度

位置・速度・加速度

位置

物体が直線上を移動しているという状況を考えてみましょう。
※こういう場合、1次元の運動をしているといいます。
移動の方向やスピードは変わっても構いません。 この物体の移動を数学的にとらえるために、直線上に原点となる点と、正の方向を決めます。 そうすると、直線を数直線としてみることができます。 この数直線上の、物体がある場所に対応する数xを、物体の位置といいます。 位置は時刻によって変わるので、1秒後の位置をx(1)、10秒後の位置をx(10)などと書くことにすれば、t秒後の位置はx(t)で表されます。 次に、物体が平面上を移動しているという状況を考えてみましょう。
※こういう場合、2次元の運動をしているといいます。
この平面にx軸とy軸をとって座標系を考えます。 そうすると、物体の位置は座標 (x,y) で表現できます。 この(x,y)がこの場合の物体の位置になります。 位置が時刻によって変わることを考慮すると、先ほどと同様に、x座標はx(t)、y座標はy(t)で表されます。 結局、位置は (x(t), y(t)) のような形で表せることになります。 さらに、物体が空間内を移動しているという状況を考えてみましょう。
※こういう場合、3次元の運動をしているといいます。
空間にx軸とy軸とz軸をとって座標系を考えます。 そうすると、物体の位置は座標 (x, y, z) で表現できます。 この(x,y,z)がこの場合の物体の位置になります。 位置が時刻によって変わることを考慮すると、これまでと同様に、x座標はx(t)、y座標はy(t)、z座標はz(t)で表されます。 結局、位置は (x(t), y(t), z(t)) のような形で表されることになります。 ここまででてきた x や (x, y) や (x, y, z) のような、一つまたは複数の座標の組み合わせで表されるものを、ベクトルといいます。 位置はベクトルによって表されるわけです。 これを位置ベクトルといい、よく記号rで表されます。 つまり、 で表されます。 高校物理では、ベクトルはこのように上に矢印→をつけた文字で表します。

変位

まず、1次元の運動の場合を考えます。 時刻tでの物体の位置は x(t) で表されるのでした。 それでは、ある特定の時刻 t から、その Δt 秒後までの間に、物体はどれだけ移動するでしょうか。
Δはデルタと読みます。 Δtというのは、Δ×tという意味ではなく、「Δt」で一つの変数であり、経過した時間という量を表しています。
時刻tでの物体の位置はx(t)です。 時刻tの Δt 秒後の時刻は t+Δtと表されるので、その時の位置はx(t+Δt)です。 したがって、この間に物体は、x(t+Δt)-x(t)だけ移動したことになります。 たとえば、x(t)が2m、x(t+Δt)が5mなら、物体は5m-2m=3mだけ移動したことになります。 x(t)が7m、x(t+Δt)が4mなら、物体は4m-7m=-3mだけ移動したことになります。 -3m移動したというのは、x軸の負の向きに3mだけ進んだということです。 x(t+Δt)-x(t)は、言いかえれば、Δt秒間の間の位置の変化を表しています。 この位置の変化のことを変位ともいいます。 なお、変位を考えるときは、時刻tでの位置と時刻 t+Δtでの位置しか考えていないことに注意してください。 たとえば、時刻tの位置が x=2m で、その後一度 x=8mのところまでいき、さらにその後、時刻t+Δtに x=5m のとろこまで戻ってきたとしましょう。 このときも、時刻tから時刻t+Δtまでの変位は、x(t+Δt)-x(t)=5m-2m=3mとなります。 途中でどの位置にいたかは関係ありません。 次に、2次元の運動の場合を考えます。 時刻tでの物体の位置は (x(t), y(t)) で表されるのでした。 それでは、ある特定の時刻 t から、その Δt 秒後までの間に、物体はどれだけ移動するでしょうか。 時刻tでの物体の位置は r(t)=(x(t), y(t))です。 時刻tの Δt 秒後の時刻は t+Δt と 表されるので、その時の位置は r(t+Δt)=(x(t+Δt), y(t+Δt))です。 ここでまず、x座標に注目してみましょう。 すると、座標は x(t) から x(t+Δt) まで変化しているので、1次元のときと同様に考えて、移動した量は x(t+Δt)-x(t)になります。 次にy座標に注目してみましょう。 すると、座標は y(t) から y(t+Δt) まで変化しているので、先ほどと同様に考えて、移動した量は y(t+Δt)-y(t)になります。 結局2次元の場合の変位は、(x(t+Δt)-x(t), y(t+Δt)-y(t))ということになります。 なお、この計算の過程を表すとき、 r(t+Δt) - r(t) = (x(t+Δt), y(t+Δt)) - (x(t), y(t)) = (x(t+Δt)-x(t), y(t+Δt)-y(t)) のように、ベクトルどうしの引き算の形で書くことが多いです。 ベクトルどうしの足し算・引き算は、各座標を足し算・引き算すればいいだけです。 たとえば、(5, 3) + (2, 1) = (5+2, 3+1) = (7, 4) です。 簡単ですよね。 ここまでくれば、3次元の場合の変位もわかりますよね。 r(t+Δt) - r(t) = (x(t+Δt), y(t+Δt), z(t+Δt)) - (x(t), y(t), z(t)) = (x(t+Δt)-x(t), y(t+Δt)-y(t), z(t+Δt)-z(t)) ですね。

平均の速度

上でやったように、時刻tから時刻 t+Δt の間の変位は r(t+Δt) - r(t) で計算できます。 一方、時刻tから時刻 t+Δt までの間、経過した時間は (t+Δt)-t=Δt 秒です。 ということは、仮に移動のスピードがずっと同じだったとしたら、1秒間ではどれだけ移動したことになるでしょうか? Δt : {r(t+Δt) - r(t)} = 1 : ? ですから、?=r(t+Δt) - r(t)Δtとなります。 これを平均の速度といいます。 平均の速度はベクトルであることに注意してください。 たとえば、2次元の場合で考え、2秒間かけて、位置 (5m, 4m) から 位置 (9m, 2m) まで移動したとします。 r(t+Δt) - r(t) = (9m, 2m) - (5m, 4m) = (4m, -2m) です。 これを Δt=2秒で割ればいいわけです。 ベクトルに数をかける計算は、単に各座標にその数をかければ構いません。 (4m,-2m)2s = (4m,-2m)×2s = (4m×2s, -2m×2s) = (2m/s, -1m/s) となります。 速度を表すベクトルは、よく記号vで表されます。 なお、sというのは、「秒」のことです。 秒を英語で言うとsecondなので、その頭文字をとったものです。 よってm/sというのはメートル毎秒、つまり秒速何メートルかを表す単位です。

瞬間の速度

時刻tからΔt秒後までの平均の速度はv=r(t+Δt) - r(t)Δtで表されるのでした。 したがって、vの式の中に出てくるΔtという値をどんどん0に近づけていけば、このベクトルvは、時刻tという一瞬におけるスピードを表すベクトルv(t)に近づいていくと考えられます。 これを時刻tにおける瞬間の速度(または単に速度)といいます。 つまり、瞬間の速度というのは、時刻tという一瞬の間に、どのくらいの割合で位置が変化するかという

平均の加速度

時刻tの物体の速度がv(t)だとします。 それでは、ある時刻tからΔt秒後までの速度の変化はどのように表されるでしょうか。 時刻tでの速度はv(t)です。 時刻t+Δtでの速度はv(t+Δt)です。 したがってこの間、速度は v(t+Δt) - v(t) だけ変化したことになります。 ということは、仮に速度の変化の仕方がずっと同じだとしたら、1秒間ではどれだけ速度が変化したことになるでしょうか? Δt : {v(t+Δt) - v(t)} = 1 : ? ですから、? = v(t+Δt) - v(t)Δtとなります。 これを平均の加速度といいます。 平均の加速度もやはりベクトルになります。 加速度を表すベクトルは、よく記号aで表されます。 単位は、m/sをさらにsで割るので、m/s2となります。 これはメートル毎秒毎秒と読みます。

瞬間の加速度

時刻tからΔt秒後までの平均の速度はa=v(t+Δt) - v(t)Δtで表されるのでした。 したがって、aの式の中に出てくるΔtという値をどんどん0に近づけていけば、このベクトルaは、時刻tという一瞬におけるスピードを表すベクトルa(t)に近づいていくと考えられます。 これを時刻tにおける瞬間の加速度(または単に加速度)といいます。