Komakuro

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将棋の数学的定義:局面

定義「駒」集合Pieceを次のように定めます。
Piece={歩1, 歩2, ... , 歩18, 香1, 香2, 香3, 香4, 桂1, 桂2, 桂3, 桂4, 銀1, 銀2, 銀3, 銀4, 金1, 金2, 金3, 金4, 角1, 角2, 飛1, 飛2, 玉1, 玉2}
Pieceの元を駒とよびます。
定義「駒種」集合Kindを次のように定めます。
Kind={歩, 香, 桂, 銀, 金, 角, 飛, 玉}
Kindの元を駒種とよびます。
定義「駒種写像」写像kind:Piece⟶Kindを次のように定めます。
kind(歩1)=歩
...
kind(玉2)=玉
p∈Piece,k∈Kindに対し、kind(p)=kのとき、pの駒種はkであるとよびます。
定義「成不成」集合Sideを次のように定めます。
Side={不成, 成}
定義「筋」集合Columnを次のように定めます。
Column={1, 2, ... , 9}⊆ℤ
Columnの元を筋とよびます。
定義「段」集合Rowを次のように定めます。
Row={1, 2, ... , 9}⊆ℤ
Rowの元を段とよびます。
定義「駒台」集合Standを次のように定めます。
Stand={stand}
定義「手番」集合Turnを次のように定めます。
Turn={先手, 後手}
定義「相手」写像-:Turn⟶Turnを次のように定めます。
-(先手)=後手
-(後手)=先手
またt∈Turnに対し、-(t)を-tと略記します。
定義「立場写像」写像post:Piece⟶( Column×Row×Side ∪ Stand ) × Turnが以下の条件をみたすとき、postは立場写像であるといいます。
(1)一マスにおける駒は一つまで
p,p'∈Pieceに対し、p≠p'かつ、c,c'∈Column, r,r'∈Row, s,s'∈Side, o,o'∈Turnがあってposition(p)=((c,r,s),o), position(p')=((c',r',s'),o')なら、c≠c'またはr≠r'
(2)玉の制約
あるc,c'∈Column、r,r'∈Rowがあって、position(玉1)=((c,r,不成),先手)かつposition(玉2)=((c',r',不成),後手)
(3)金は成れない
p∈Pieceに対し、kind(p)=金 のとき、c∈Column, r∈Row, s∈Side, o∈Turnがあって position(p)=((c, r, s),o) なら、s=不成
また、すべての立場写像の集合をPostで表します。
立場写像とは要するに、駒に対して、それがどこにあってどちら側に属するかという情報を対応させる写像です。
定義「所有者」state=(post,t)∈State、p∈Piece、o∈Turnとします。
あるx∈Column×Row×Side ∪ Standがあってpost(p)=(x,o)であるとき、「stateにおいてpはoの駒である」とか、「stateにおいてpの所有者はoである」といいます。
定義「持ち駒」state=(post,t)∈State、p∈Pieceとします。
あるo∈Turnがあってpost(p)=(stand,o)となるとき、stateにおいてpは(oの)持ち駒であるといいます。
定義「駒の位置」state=(post,t)∈State、p∈Piece、c∈Column、r∈Rowとします。
あるs∈Side、o∈Turnがあってpost(p)=((c,r,s),o)のとき、stateにおいてpは(c,r)の位置にあるといいます。
定義「成不成」state=(post,t)∈State、p∈Pieceとします。
あるc∈Column、r∈Row、o∈Turnがあってpost(p)=((c,r,不成),o)のとき、stateにおいてpは不成である、または成っていないといいます。
あるc∈Column、r∈Row、o∈Turnがあってpost(p)=((c,r,成),o)のとき、stateにおいてpは成である、あるいは成っているといいます。
定義「局面」State := Post × Turn と定義します。
Stateの元stateを局面といいます。
state=(post,t)とおくとき、postをstateの立場写像、tをstateの手番とよびます。
局面とは要するに、立場写像に、現在の手番がどちらかという情報を加えたものです。
定義「α1等価」(post,t),(post',t')∈Stateとします。
以下の条件が成立するとき、(post,t)と(post',t')はα1等価であるといい、(post,t)=α1(post',t')とかきます。
(1)t=t'
(2)あるp1,p2∈Pieceがあって、kind(p1)=kind(p2)であり、任意にp∈Pieceをとると以下の3条件をみたす
(2-1)pがp1でもp2でもなければpost(p)=post'(p)
(2-2)post(p1)=post'(p2)
(2-3)post(p2)=post'(p1)
定理「α1等価の対称性」s,s'∈Stateに対し、s=α1s' なら s'=α1s です。
証明α1等価の定義から明らかです。
定義「α同値」State上の二項関係=α1の反射的推移的閉包を=αとかきます。
s,s'∈Stateに対し、s=αs'のとき、sとs'はα同値であるといいます。
定理「α同値の同値性」=αはState上の同値関係です。
証明対称律をみたす二項関係=α1の反射的推移的閉包であることによります。
定義「α局面」商集合State/=αの元を、α局面とよびます。
2つの局面がα同値であるというのは、簡単に言えば同じ駒種の駒を区別しなければ同じ局面である、ということです。
通常の将棋用語としての「局面」に対応するのは、局面ではなくα局面です。